私にとっての「知命社中」は、「他人から学ぼうとする意識から脱却し、自得の域に達することへのチャレンジ」でした。
知命社中では、合理と情理の両面から、時代の変化・経営の合理性・人への理解など、各方面の有識者の方々のお話を聞ける機会がありましたが、その後には必ず自分の言葉に変換して、社中同志の皆さんに考えを伝えなければなりません。その過程のなかで、知識レベルでも「自分の足らざるところ」は否応がなく気が付かされますし、さらに、痛感させられるのは「伝えること」の難しさでした。
リーダーとしても、それ以前に一人の人間としても、周りの方々に影響を与えようとすれば、自分の言葉・行動に共感を持ってもらわなければなりません。聞いたような話・ものまねレベルの行動では、人は動いてくれません。その言葉と行動に自ら責任を持っているなと・本気でそう考えているなと、思ってもらわなければならないことに知命社中のプログラムを通して改めて気が付かされました。
これまで自分を高める努力として、これまで出会った方々のお話や行動から学び、自分の中で感じたものを取り込む努力はしてきたつもりですが、それだけではまだまだ足りないのだと感じています。次のステップとしては「他人から学ぶ」という段階から、「自分のものにする」というところに意識を向け、人に伝わる・共感されるという域を目指していきたいと考えています。
「相互理解への集中」思考を尽くした意見交換
知命社中では様々な取り組みが盛り込まれていますが、その中でも、集まった社中同志の意見の交換は大変貴重なものでした。各セッションの後で車座になって意見を交換する機会も大変貴重なものでしたが、特に集中したのは、同志の皆さんが書いてきたエッセーに対して、 “ギフト・メッセージ”として、研修後のインターバル期間中に、自席から自分の視点をメールで送ることでした。会話であれば、その場の雰囲気や流れ、時間的制約もあるので、直観的な内容になりがちですが、メールで意見を書くというプロセスは、その方のバックグラウンドを想像しながら、その方の気付きになる視点は何だろうと思考を巡らしながら、言語化していくプロセスでした。お互いにまだまだ理解していない状況においても、その時に共感を得なければならないシーンは多いと思います。自分の発した言葉は、一回自分の中から出てしまえば、受け取った相手のものになってしまいます。思考を尽くして言葉を発することの重要性について気づきを得る機会となりました。