知命社中プログラムは、初日の冨山氏の講演から大きなインパクトがありました。また、講演者だけでなく、様々な企業の役員である他の参加者との対話も、大変刺激的でした。それは同時に、自身の「足らなさ」への自覚が芽生えた瞬間でもありました。
「足らなさ」から強く感じたことは、自身の責任範囲をどう捉えるかという点です。役員、つまり経営者という立場は、もっと視座高く物事を捉えていかなければいけないということです。しかし、日常の中で自らの職責という“枠”を越えるには、ある種のパワーが必要です。だからこそ、多様な刺激を浴び続ける知命社中という環境を、枠を広げスケール大きく考える訓練の場とさせていただきました。
現在の自身を大きく見せるのではなく、現実の中での己を知り、そこからレベルアップしていこうと思えたことで、本当の意味でスタートラインに立てたのだと思います。
もう一点は、正しく事実を押さえること、厳しい現実を直視することの重要性です。過去の経験で培った自信や感覚だけでなく、社会や自社のデータを正確に見ることで、ビジョンを数字で裏付けながら考えることを学びました。そうすることで、自身の思いや考えが後押しされ、社長との対話においても、経営に一層踏み込んだ質へと変化させることが出来ました。
知命社中は、多くの情報と刺激に溢れた場です。それゆえ、プログラムが後半に進むにつれ、アウトプットに対する意識も強まっていきました。自身のリーダーとしての能力向上も重要ですが、私は、社員各々に育って欲しいと思っています。だからこそ、インプットしたものをそこで終わりにせず、部下にも伝えていきたい。共に社会に対する感度を上げることで、それぞれが働く軸を見つけるきっかけになればと思います。
リーダーとは、仲間がいてはじめて成り立つものです。だからこそ、まずは自らが部下と共有できる旗(軸)を示すことで、全体として強い組織に成長していきたいと考えています。