私は長らく営業に従事してきましたが、取引先中心の営業活動をしており、私自身にも「営業活動という仕事に閉じた感覚」がありました。その後、経験のない人事部門へ異動することになったのです。もともと自分に自信を持てない性格でもあり、自分の軸は何なのか、これから会社をどうしていくべきなのかと悩むようになりました。

かつての業績至上主義の時代とは異なり、現代のリーダーには人間力が求められます。だからこそ、自分の動力源を何に見出し、どのように自信を持って組織を率いるべきなのか。その心構えを改めて学び直したいと考え、「知命社中」へ参加しました。

プログラムの中で非常に印象的だったのは、奈良の金峯山寺の長である田中利典師の「運は動より生ず」という言葉です。動かない限り、何も起こらない。この教えは、私の行動を大きく変えました。

研修後、社に戻って人事施策を検討する際にも、一人で内にこもって悩むのではなく、他社の人事を訪ねて意見を聞くなど、積極的なアクションを起こすようになりました。もちろん当社の人材も一人ひとり異なりますが、同じ組織にいるとどうしても発想が同質化し、議論が閉じてしまいがちです。だからこそ外の世界に触れ、視座を高め、視野を広げる意義は大きいと感じています。

加えて「知命社中」では、自分の「軸」に徹底的に向き合います。これまでは自分自身のことを考える時間がほとんどありませんでしたが、あらためて自分らしさとは何か、自分はこのままで良いのかと自己を見つめ直す機会は、私にとって非常に大きなものでした。

また、日々の行動も意識的に変えるようになりました。常に明るく振る舞おうと心がけるだけでも、周囲に与える影響は変わっていきます。以前は部下のミスを叱りつけることもありましたが、今はまず受け入れ、冷静に対応するようになりました。

半年以上にわたる「知命社中」を通じて、社外の、それも同等の階層の方々と共通の体験をし、本音で語り合える仲間になれたことは本当に貴重な財産です。皆さん仕事では百戦錬磨で成長意欲の高い方ばかりですが、ひとたび集まれば子どものような雰囲気になり、社内の人には話しにくい悩みも本音で相談し合える関係を築くことができました。

当社では 2 年前に公式にサクセッションプランを策定し、役員育成の一環として「知命社中」に継続的に役員を派遣しています。企業人事としての大きな狙いは、役員が共通体験をすることで、互いの意思疎通や会話をより円滑にすることです。「知命社中」は自己認識や考え方の軸、成長意欲などをあらためて見つめ直す機会になっています。これからも派遣を継続し、経営メンバーの意思疎通を活性化させ、当社のさらなる成長に繋げていきたいと考
えています。